商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

パーソナルブランディングと商標登録

自分自身をブランド化がすることが大切だ!

 

ビジネスでは、よく言われることだと思います。
特に、自分自身が商品となるような職業や事業では、マーケティング手法としても、このような「パーソナルブランディング」が重要だと言われます。

 

そんな「パーソナルブランディング」の一つのやり方として、自分に合った「オリジナルの肩書き」を作ることが挙げられます。自分の専門分野やポリシーなどを肩書きに含めることで、どんな人なのかを顧客に覚えてもらい、同業者と差別化するわけですね。

 

「自分自身が商品となるような職業や事業」に特に有効と考えられますので、「先生」と呼ばれるような人、たとえば、講師コンサルタントカウンセラー医師の先生などに、「オリジナルの肩書き」を作る機会が多いと言えるのではないでしょうか。そうそう、我々弁理士のような士業にも、当てはまりますね。

 

あらためて、こういった点を意識して世の中を見渡すと、意外と多くの「オリジナルの肩書き」を目にするような気がします。

 

ところで、そのような肩書きを考えて実際に使っている本人からすれば、当然に「マネされたくない」と思うでしょう。特に、ライバルとなる同業者には、使われたくないと考えるはずです。

 

そこで、このような「オリジナルの肩書き」を商標登録して、独占的な使用を確保しようと考える方も少なくないようです。

 

実際に、毎度おなじみの特許庁のデータベース(J-PlatPat)の「称呼(単純文字検索)」で、たとえば「コンサルタント」と入力して検索すると、553件がヒットします(※2023年6月5日現在)。

 

もちろん、全てが「オリジナルの肩書き」に関する商標というわけではありませんが、ざっくりリストを眺めても、それらしいものがそれなりの数あるように見受けられます。なお、同様に「?カウンセラー」で検索すると、347件がヒットします。

 

士業も、たとえば「商標(検索用)」に「?弁護士」、「?税理士」、「行政書士」などを入力して検索すると、数は少ないですがそれらしいものが出てきますね。もちろん、「弁理士」もいくつかありますね。それにしても、なぜか士業の場合は、特にユニークな「オリジナルの肩書き」が多い気がします。ちなみに、同じ士業でも「司法書士」は非常に少なく、「公認会計士」に関しては見当たりません。

 

このように、自身の「パーソナルブランディング」に商標登録を活用するということについては、その効果の観点から、おそらく業界内でも賛否があろうかと思われます。具体的な肩書きにもよりますが、多少の商標類否の知識があれば、名称を少しだけ変えて簡単に商標権侵害を回避されるケースも考えられます。その点で、たしかに商標登録の実効性には少々疑問も残ります。

 

一方で、他に言い換えのきかないような、造語としてもピッタリはまる肩書きであれば、商標登録をする意義は大きいと思います。

 

私自身も、「パーソナルブランディング」が必要な弁理士でありますが、「業務上の使用の蓄積」という点において、肩書きも商標と同じ役割を果たすと思いますし、個人的には、こういった商標登録は基本的に有効ではないかと考えています

 

ただ、商標登録の優先度については、よく考える必要があるとも思います。

 

「オリジナルの肩書き」よりも、重要性の高い商標、使用頻度の高い商標があれば、そちらの商標登録をまずは優先すべきでしょう。この点、間違えてはいけません。また、「パーソナルブランディング」となると、費用は完全に自分持ちとなるのが普通でしょうから、そこまで金銭的に余裕がないということも少なくないはずです。費用対効果を考えることも、大切になると思います。

 

そして、実際に商標登録をする場合は、くれぐれも指定商品・指定役務を間違えないようにしたいところです。

 

なお、当事務所のウェブサイトには、「教室・習い事・スクールのための商標登録」、
士業の先生のための商標登録」、「先生・コンサルタントのための商標登録」といったコンテンツもありますので、よろしければご参照ください。

 

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