商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

「VIVANT」の商標登録を検索して愉しむ

先日、TBS系列で放送のドラマ『日曜劇場「VIVANT」』が最終回を迎えました。

 

私は、最初の頃は見ていなかったのですが、周囲の「面白い」という声に影響を受け、実際に見てみたところ確かに面白く、それ以降は見ています。先日の最終回も、リアルタイムでしっかり見ました(笑)。

 

さて、この「VIVANT」は、「ヴィヴァン」と読みます。
ドラマでは特定の意味合いを意図していたかと思いますが、文字(単語)としては、フランス語に存在するようです。私の手元にある仏語辞典では、「生きている、生命のある」とか、「活発な、生き生きとした、活気のある」といった意味が載っていました。

 

このように、「VIVANT」にはポジティブな意味合いがあることから、この語が、商品やサービスに関する「商標」として採用されている可能性も考えられそうです。

 

そのような商標が実際にあるのか、どれくらい商標登録がされているのかなど気になりますよね。そこで今回の記事では、「VIVANT」の文字に関する商標登録をざっくり検索して、それらをチェックしてみたいと思います。

 

・「VIVANT」の文字に関する商標登録の検索方法

このブログの読者の方なら、「VIVANT」の文字に関する商標登録の検索方法はもうおわかりですね(笑)。はい、今回もいつものように、「J-PlatPat」のデータベースを利用します。
※リンク先は、ブラウザの「新しいタブで開く」などで開いてください。

 

「商標検索」のページが表示されたら、一番上の「商標(マーク)」のブロックの検索項目に「商標(検索用)」があることを確認します。確認ができたら、その右側の「キーワード」の入力フォームに「?VIVANT」と入力します。「?VIVANT」と入力することで、「VIVANT」や「〇〇〇 VIVANT」といった構成の商標を抽出します。(なお、この検索方法では、「VIVANT 〇〇〇」といった構成の商標は出てきませんのでご注意ください。)

 

入力ができたら、画面下部にある「検索」ボタンをクリックしましょう。

 

23件がヒット!!
(2023年9月19日現在)

 

画面を下にスクロールすると、商標リストを見ることができます。

 

う~ん、多いのか少ないのか、微妙な感じですね(笑)。

 

ちなみに、一番古いもので、1976年に商標登録がされた「SAINT VIVANT\セントビバント\サンビバン」という商標がありますね。これは、フランスのお酒に関する商標のようです。

 

VIVANT」そのものの商標登録も、いくつかありますね。
一番古いものでは、2002年に日本の某企業が第14類「身飾品,宝玉及び宝玉の模造品,時計」について登録をしたものがあります。登録から20年以上が経って、「VIVANT」が流行語になり、この企業もさぞかし驚いているのではないでしょうか。

 

ちなみに、この検索結果においては、ドラマの「VIVANT」に関連した商標は今のところ見当たらないようです。

 

特許庁が「VIVANT」に付けた称呼にも注目

さて、商標登録の出願がされて、「J-PlatPat」で検索できるようになった商標には、それぞれ「称呼(参考情報)」として、その商標の称呼(=読み方)が特許庁によって付けられています

 

これは、検索結果で表示された商標リストでも確認することができます。

 

ここで付けられた称呼がキーとして、「称呼(単純文字検索)」や「称呼(類似検索)」で使われるわけですね。ですから、あくまで「参考情報」とされてはいますが、ここで付けられる称呼(=読み方)は、商標調査の際には非常に重要となります。なお、「あり得る読み方」が複数ある場合は、その分だけ広く付けられているのが一般的です。

 

ヒットした23件の「称呼(参考情報)」を見てみると、1件を除いて、「VIVANT」にはちゃんと「ビバン」の読み方で称呼が付けられています。このあたり、特許庁はさすがだなぁと感心します。

 

ちなみに、「ビバン」の読み方が付けられていない1件には、「ビバント」の称呼のみが付けられています。実際には、「〇〇〇VIVANT」という構成のため、「〇〇〇ビバント」の称呼が付けられているのですが、実はこれが原因で、「称呼(類似検索)」で「〇〇〇ビバン」を検索してもこの商標が出てこないという現象が生じます。

 

商標調査において、「称呼(類似検索)」だけでは、このような調査漏れが生じることが少なくありませんので、注意が必要です弁理士でも、商標調査にあまり慣れていないと、このへんを見落とす可能性があります。「J-PlatPat」を利用した商標調査では、「商標(検索用)」等の検索方法も併用した上で、必ず複数の検索ロジックで調査することをお勧めする次第です。

 

・「ビバン」以外に付けられている称呼は?

では、「VIVANT」には、他にどのような称呼が付けられているでしょうか。

 

「ビバン」以外には、上述の「ビバント」がありますね。
たしかに、我々日本人が普通に読むと、「ビバント」になるのが一般的だと思います。
ですから実際、ほとんどの商標に、「ビバン」と「ビバント」の複数の称呼が付けられています

 

なお、1つだけ「ビボン」が付けられているものもありました。
ネット検索してみると、たしかに「VIVANT」に「ヴィボン」と振り仮名が付いているものがありました。もしかすると、その前に来る単語によっては、そういう読み方をする場合もあるのかもしれません。

 

あとは「バイバント」という称呼が付けられたものあります。
なるほど、たしかに読めなくもないですね(笑)。

 

ちなみに、商標調査では基本的に、このように「あり得る読み方」が複数ある場合には、漏れが出ないように、全ての称呼について調査を実施します。ですので、「VIVANT」のような語についての商標調査は、一見簡単なようで意外と手間がかかったりします。

 

というわけで、今回は「VIVANT」の文字に関する商標登録をざっくり検索してみました。ご参考になりましたら幸いです。

 

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