「インターネット上には、特許事務所のホームページがたくさんあるけど、所属する弁理士にどれくらいの経験があるのかが、よくわからない。」
このような声を、たまに聞くことがあります。
たしかに、弁理士の紹介ページなどに、出身大学とか、肩書きとか、なんだかすごそうな人を思わせるプロフィールが書かれていることはよくありますが、肝心の弁理士としての経験について述べられているものは、あまりない印象があります。
ところで、私が、たとえば通院するクリニックを選ぶ際には、そこのお医者さんや歯医者さんにどれくらいの経験があるかを、「医師等資格確認検索」を使って事前に調べることがあります。この検索結果には、「登録年」が出てくるので、その医師等のおおよその経験年数を知ることができます。
同じように、弁理士への依頼などをお考えの方々が、その弁理士にどれくらいの経験があるのかを、事前に知っておきたいと思っても、まったくおかしいことではないでしょう。
そこで今回は、「弁理士の経験年数の調べ方」について少しお話したいと思います。
・「弁理士ナビ」を使えば、弁理士の登録期間がわかる
日本弁理士会では、「弁理士ナビ」という検索サービスを提供しています。
弁理士ナビでは、地域、相談内容、専門分野等を指定することで、その条件に合った弁理士や特許事務所を探すことができます。また、それぞれの基本情報も公開されています。
この公開されている弁理士の基本情報の中には、「登録年月日」と「通算登録期間」が含まれています。これらの情報をチェックすることで、弁理士としての経験年数がどれくらいあるのかがわかります。
具体的な調べ方の手順は、以下のとおりです。
1.「弁理士ナビ」にアクセスします。
2.上段の右側に、「弁理士を探す」という項目の入力フォームがありますので、ここに調べたい弁理士の氏名を入力します。入力ができたら、「検索」ボタンをクリックします。
私のように珍しい名字であれば、名字だけの入力でもOKですが、たとえば「佐藤」さんのようにたくさんいる名字の場合は、フルネームを入力した方が良いでしょう。名字と名前の間に、スペースは入れても入れなくてもOKです。
3.検索結果に弁理士のデータが表示されますので、一番右にある「詳細」をクリックします。
4.その弁理士の基本情報などが表示されます。
情報項目の中に、「登録年月日」と「通算登録期間」がありますので、これらの情報をチェックすればOKです。
なお、公開されている情報には、基本情報(項目欄の背景が薄い黄色)と任意情報(項目欄の背景が薄い灰色)があります。任意情報には、その弁理士の専門分野や出身校などの情報があります。情報を設定・公開するかはその弁理士の任意となりますので、表示されないケースも比較的多いですが、もし表示されている場合は、参考情報としてチェックすると良いでしょう。
・「通算登録期間」=「実務経験年数」ではない点に注意
上述の「通算登録期間」の情報によって、検索した弁理士が、弁理士としてどれくらいの経験年数があるかを、概ね知ることが可能です。
ただし、この「通算登録期間」=「実務経験年数」ではない点には、注意が必要です。
「通算登録期間」は、あくまで弁理士登録をしてからの期間を意味するものです。
たとえば、特許事務所や企業知財部等で20年の実務経験の後に弁理士試験に合格し、弁理士登録をした場合。1年後の「通算登録期間」は「1年」ですが、「実務経験年数」は「21年」ということになります。実際、このような感じの人も少なくないと思います。
よって、登録期間が短いからといって、必ずしも実務経験が浅いとは限りません。
このあたりは、その弁理士の公開プロフィールから推測・判断するしかないでしょう。
もっとも、弁理士としてでなければ経験できない実務も多くあるという点には、留意が必要だと思います。やはり、弁理士としての経験年数は重要でしょう。
ちなみに、まれだとは思いますが、「登録だけしている人」というのも、おそらくいると思われます。弁理士登録はしているけれど、弁理士としての仕事はしていないという人です。この場合には、必ずしも「通算登録期間」=「弁理士としての経験年数」にはなりません。こういった弁理士が検索の対象になることはあまり考えられませんが、念のため。
・「登録番号」について
弁理士ナビで検索できる基本情報の中には、「登録番号」もあります。
我々弁理士の中では、この登録番号だけで、弁理士としてどれくらいの経験年数があるのか、だいたい予想が付きます。
登録番号は、大きければ大きいほど「最近」ということになります。
現在(※2024年1月下旬)では、「23200」番台が最新番号のようです。
近年は弁理士試験合格者の数が少ないので、24000番台までには数年かかると思われます。
ちなみに、4ケタの登録番号の弁理士は、大ベテランです。
「レジェンド級」の弁理士と言っても、間違いではないと思います。
ただ、その数も、今ではかなり少なくなっていると思われます。
なお、まれに「再登録」をしている弁理士もいます。
一度、何らかの事情で登録抹消をして、後で再登録をしている弁理士です。
これにより、新しい登録番号になっている場合があります。
よって、比較的最近の登録番号でも、「通算登録期間」は長いという弁理士も中にはいます。
登録番号が自分よりもかなり後ろなので、後輩だろうと思って偉そうにしていたら、実は大先輩だったなんてこともあり得ますので(笑)、この点には弁理士も注意が必要です。
というわけで、今回の記事では、「弁理士ナビ」を使った「弁理士の経験年数の調べ方」についてお話いたしました。今回は商標とは関係のない内容でしたが、ご参考になれば幸いです。
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