商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

「アルファベット3文字の商標は商標登録できますか?」という相談

アルファベット3文字の商標は商標登録できますか?

 

このような相談を、意外と多く受ける気がします。

 

わが国では、会社名や団体名の略称として、アルファベット3文字の名称が好んで使われる傾向があるように思います。皆様も、すぐにパッと思い浮かべられるものが、5つくらいはあるのではないでしょうか。

 

もちろん、商品名やサービス名として、アルファベット3文字が採用されることもあるでしょう。たとえば、何らかのシステムに関するものの名称には、比較的多い印象があります。

 

こういったアルファベット3文字の名称などが、商品やサービスの「商標」として使われることも少なくありません。そのような商標を採用した事業者の方々が、主に標題のような疑問を抱かれるのだと思われます。

 

今回の記事では、この点について少しお話してみたいと思います。

 

・「アルファベット3文字」は商標登録し得る

結論から言うと、「アルファベット3文字」の商標という理由だけで、商標登録が認められないということはありません。

 

一般的な文字商標と同じように、特許庁の審査で拒絶理由が発見されなければ、商標登録は普通に認められることになります。

 

実際に、多くのアルファベット3文字の商標に、商標登録が認められています。
たとえば、「NTT」、「TBS」、「NEC」、「YKK」、「SBI」など、有名どころだけでも、多くの登録例があります。もちろん、そこまで有名ではないものも多数あります。

 

日本商標協会(JAPAN TRADEMARK ASSOCIATION)の「JTA」も、ちゃんと商標登録がされていますね(登録第5447092号)。

 

・「アルファベット3文字」の場合に注意が必要な拒絶理由

上述のように、「アルファベット3文字」の商標であっても、特許庁の審査で拒絶理由が発見されなければ、商標登録をすることは可能です。

 

すなわち、商標登録が認められるためには、指定商品・指定役務との関係で、そのアルファベット3文字が自他商品役務の識別力を発揮できることや、先行する同一または類似の登録商標が存在していないことなどが条件となるのは、一般的な文字商標の場合と同様です。

 

ただ、アルファベット3文字の商標の場合は、これに加えて、登録条件として特に注意すべき点があります

 

具体的には、たとえば、その商標登録をしようとするアルファベット3文字の商標が、① すでに有名となっている他人の会社名等の名称や略称と同一・類似の場合、② 国際機関の名称と同一・類似の場合、③ 有名な公益団体等の名称と同一・類似の場合などは、登録が認められない可能性が高まります。

 

J-PlatPatの「商標検索」などのデータベースを用いた一般的な商標調査だけでは、こういった登録条件の事前チェックを見落とす可能性がありますので要注意です。「アルファベット3文字」の商標の商標登録を検討する際には、事前にインターネット検索や辞典などによるチェック、J-PlatPatの「日本国周知・著名商標検索」や「不登録標章検索」の併用によるチェックも忘れないようにしましょう。

 

なお、場合によっては商標登録ができないだけでなく、実際に使用をすれば問題となることもあり得ますので、慎重な検討が必要です。商標調査や事前チェックについては、アルファベット3文字の商標の「採用前」に済ませておくことが理想的です。

 

というわけで、今回は、「アルファベット3文字の商標は商標登録できるのか?」という点について、少しお話しました。

 

一般的な文字商標と同様に、登録条件を満たせば商標登録をすることはできますが、「アルファベット3文字」の商標の場合は、これに加えて特に注意すべき登録条件もあるという点を、ぜひ覚えておいてください。なお、今回の記事は、あくまでわが国(日本)での商標登録に関するお話となります。

 

事業者が、自社を表示する商標として、アルファベット3文字を使っていながら、商標登録を失念しているケースも意外と見かけます。「商標」としても使用するのであれば、やはり1日も早く出願をすることがお勧めされます。

 

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