商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

おにぎり商標 VS おむすび商標

「おにぎり」か、「おむすび」か?

 

いわゆる「握り飯」の呼び方の話です。
違いについては諸説あるようですが、イマイチはっきりわかりません。

 

個人的には、「縁を結ぶ」、「心を結ぶ」、「絆を結ぶ」など、「むすぶ」という言葉のイメージが良いので「おむすび」派です。とはいえ、普段の生活では「おにぎり」と言っていることが多いような気がします。

 

そこで、ふと思いました。
日本で商標登録や商標出願がされている商標には、「おにぎり」派、「おむすび」派のどちらが多いのだろうかと(笑)。

 

というわけで、今回は「おにぎり商標」と「おむすび商標」を実際にリサーチしてみましょう!

 

・商品・サービス国際分類表(ニース分類)では「おにぎり」を採用

さて、「商品・サービスの国際分類」では、「握り飯」は商品としてどのような一般名称で表記されているのでしょうか。

「おにぎり商標」と「おむすび商標」をリサーチする前に、まずはこの点について見てみましょう。

 

調べてみると、以下のように「おにぎり」が採用されていました。
英語表記も「onigiri」になっています。

 

onigiri おにぎり 32F06  300251

 

ちなみに、「TM5 IDリスト」でも、「第30類 おにぎり Onigiri (rice balls)」となっているようです。

 

商標実務の場では、一般的な「握り飯」の呼び方は、「おにぎり」に分があるようです。

 

・全商品・全役務の分野では、どちらの商標が多い?

それでは、我が国で商標登録や商標出願がされているのは、「おにぎり商標」と「おむすび商標」のどちらが多いのかを、実際に調べてみましょう。

 

例によって、リサーチには「J-PlatPat」のデータベースを使わせてもらいます。

 

まずは、商品・役務を絞らないで検索してみましょう。

 

というわけで、「おにぎり商標」から。
「J-PlatPat」の検索画面で、検索項目が「称呼(単純文字検索)」となっているキーワード欄に、「?オニギリ?」と入力して、「検索」ボタンをクリックします。

 

250件ヒット!!

 

おにぎりくん」や「おにぎりちゃん」を始め、様々な登録商標がありますね。

 

ただ、この検索方法だと、「鬼切」とか「鬼斬」のような商標も混ざってきますので、「鬼」の付く商標を除外してみます。すると・・・。

 

243件ヒット!!

 

となりました。

 

では次に、「おむすび商標」を検索してみましょう。
同様に、検索項目が「称呼(単純文字検索)」となっているキーワード欄に、「?オムスビ?」と入力して、「検索」ボタンをクリックします。

 

179件ヒット!!

 

「おむすび山」や「おむすび物語」を始め、こちらも様々な登録商標があります。

 

めちゃくちゃ差が付いているわけではありませんが、全商品・全役務の分野における
商標登録や商標出願の数は、「おにぎり商標」に軍配が上がる結果となりました

 

・「おにぎり」の商品分野では、どちらの商標が多い?

では、「おにぎり」の商品分野ではどうでしょうか。
先程の検索画面で、おにぎりの類似群コード「32F06」を設定してみましょう。

 

2ブロック目の「商品・役務」の検索項目が「類似群コード」になっていることを確認して、キーワード欄に「32F06」を入力します。そして、「検索」ボタンをクリック。

 

まずは、「おにぎり商標」から・・・

 

138件ヒット!!

 

ちなみに、「鬼」の付く商標を除外しても件数は変わりませんでした。

 

一方の「おむすび商標」は・・・

 

87件ヒット!!

 

う~ん、やはり「おにぎり」の商品分野においても、商標登録や商標出願の数は「おにぎり商標」に軍配が上がりました


※今回の検索方法では、小売役務のみを指定する商標登録が検索結果に含まれている可能性があります。予めご了承ください。

 

・結論&雑感

というわけで、「おにぎり商標 VS おむすび商標」のリサーチ結果としては、「おにぎり商標」の方が、数としては優勢という結論に至りました

 

「それがどうした?」と言われるとアレですが(苦笑)、もしかしたら、いつかどこかで何かの参考になるかもしれません!!

 

ところで、もし自分が、このような「握り飯」に関する商標の使用者だったら、商標戦略的にいろいろと悩みそうだなという気がします。

 

まず、商標の構成中に「おにぎり」と「おむすび」のどちらの語を採用するか。
それとも、いっそのこと、これらの語を含めないようにするか。

 

「おにぎり商標」を商標登録したら、防衛的に「おむすび商標」も商標登録をしておいた方が良いのかどうか。それとも、そこまではする必要はないと考えて良いのか。

 

たとえば、「おにぎり紫苑」を商標登録しておけば、他人が「おむすび紫苑」を使用した場合に、商標権が行使できるから安心と考えて良いのか。これが「紫苑のおにぎり」と「シオンのおむすび」のような場合はどうか。

 

その他にも、考えるべきことはいろいろあるように思います。

 

まぁ、少なくとも、「おにぎり商標」の商標調査においては「おむすび商標」、「おむすび商標」の商標調査においては「おにぎり商標」についても調査しておくことが重要でしょう。称呼検索だけだと見落とす可能性があるので、ご注意を

 

商標って、難しいですね~。


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