商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

「J-PlatPat」の仕様が一部変更になりました

本ブログでもよく登場する「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」が、本日(2024年2月26日)より、アップデートされました

 

今回のアップデートで、仕様が一部変更となり、商標関連の検索においても検索方法が以前と若干変わった点がありますので、今回はそれについて簡単に書いてみたいと思います。

 

・「出願人/権利者/名義人」等の検索が、部分一致検索に変更された

今回のアップデートによる変更点については、「特許情報プラットフォームの機能改善について」や、「J-PlatPat 機能改善について」に記載されておりますので、詳細は各自でご確認いただければと思います。

この中でも、商標に関する検索では、特に注意が必要な変更点があります

 

それは、今回のアップデートで、商標検索」において、検索項目「出願人/権利者/名義人」、「国内代理人」、「異議申立人」の検索が、「完全一致検索」から「部分一致検索」に変更されたです。

 

たとえば、これまでは「株式会社ABC」が出願人等である商標を検索する際、キーワードには「株式会社ABC」と入力する必要がありました。これが今回の仕様変更により、キーワードに「ABC」と入力すれば、「ABC」を含む出願人等がすべて検索されるようになりました。

 

・検索用途によっては、逆に使いにくくなったのでは…?

このように、今後は「ABC」と入力すれば、「ABC」を含む出願人等がすべて検索されるようになるわけですが、「株式会社ABC」だけが出てくるわけではありません

 

「株式会社ABC」の他にも、「ABC株式会社」、「ABCD株式会社」、「株式会社ABCDE」、「XYABC株式会社」などが出てくることになります。さっさと「株式会社ABC」が出願人等である商標を調べたい場合には、かえって手間が増えることになりそうです

 

それなら、キーワードに「株式会社ABC」を入力すれば良いかというと、それでも部分一致検索になれば、「株式会社ABC」の他に、「株式会社ABCD」や「株式会社ABCDE」、「〇〇〇株式会社ABC」などが依然として出てくることになります。

 

たとえば、「株式会社ABC」が保有する商標の数を知りたくて、「株式会社ABC」をキーワードで検索した場合、部分一致検索となることで、「株式会社ABCD」や「株式会社ABCDE」などの保有商標(ノイズ)も件数に含まれることになります。これが数件、数十件であれば、目で数えて除外すれば良いですが、数百、数千と出てきた場合、正確な件数の把握が困難になるのではないでしょうか。筆者の気のせいでしょうか?

 

・本当に「機能改善」なのか大いに疑問…

今回のアップデートは、「機能改善」と謳われていますが、この商標検索における「出願人/権利者/名義人」等の検索に限って言えば、個人的には、全然「機能改善」ではないように思います。

 

むしろ、今までどおりワイルドカード「?」が使えた方が、知りたい情報を素早く正確に検索できる気がします。せめて「除外キーワード」でワイルドカード「?」が使えれば良かったのですが、現時点では、「出願人/権利者/名義人」等が検索項目の場合は、使えなくなっています。

 

というか、「完全一致検索」から「部分一致検索」に変更するのではなくて、「完全一致検索」と「部分一致検索」を選択できるようにすれば良かっただけの話では?ラジオボタンとか付けて。それでこそ「機能改善」なのでは?

 

というわけで、個人的な意見を言いますと、

 

元に戻してください!!

 

ということに尽きます(苦笑)。

正直、この点については何のメリットもありません…。

 

もし、どなたか以前と同じように、「J-PlatPat」で出願人等を一発で完全一致検索できる方法をご存知でしたら、教えていただけると助かります・・・。(WIPOの「Global Brand Database」などは使わずに)

 

というわけで、なんだか釈然としない気持ちではありますが、今回は、本日(2024年2月26日)よりアップデートされた「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」の仕様の一部変更について、お話いたしました。

 

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