商標実務において、商標調査や商標検索は欠かせません。
これらを実施するために、データベースの利用は必須と言えます。
そのようなデータベースの代表として、当ブログでも何度も登場している「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を挙げることができるでしょう。商標実務家であれば、これを1日に1度も使わないということは、ほとんどないのではないかと思います。
さて、この「J-PlatPat」で普通に商標検索をした場合、審査結果に表示されるのは、「生きている状態」の商標となります。より具体的には、商標登録をして登録が継続している状態のもの、商標出願をして審査中・審査待ちの状態のものです。
逆に言えば、言い方は悪いのですが「死んでしまった状態」の商標については、検索結果に表示されません。たとえば、商標権の更新をせずに消滅してしまったもの、商標出願をしたものの登録拒絶が確定したもの、出願の取り下げ・放棄をしたもの等は、普通に検索をした場合、検索結果には表示されないことになります。
しかし、その中でも「登録拒絶となった商標」、つまり、「登録ができなかった商標」の情報というのは、有意義であることが少なくありません。
たとえば、識別力が微妙な気がする商標を出願するかどうか考えている場合に、同じ商標や似たような商標が、過去に審査で登録拒絶になったという前例が事前にわかれば、実際に出願をする前に商標変更などを検討することもできるわけです。
そこで、「登録拒絶となった商標」も検索結果に出てくれば良いのに…と思うわけですが、実は、「J-PlatPat」では、ある検索オプションを指定することで、これが可能となります。しかも、その方法は「超カンタン」です。
というわけで、今回は、「J-PlatPat」で登録拒絶になった商標を検索結果に含める方法について、ご紹介いたします。
・登録拒絶になった商標も検索結果に含めるための設定方法
それでは、実際に順を追って、その設定方法を見ていきましょう。
まずは、いつものように、「J-PlatPat」の「商標検索」にアクセスします。
「商標検索」の画面が表示されたら、一番下のカラム(「検索」ボタンの真上)にある、「検索オプション」の「開く +」の部分をクリックします。
すると、オプション設定のメニューがズラリと表示されましたね?
このメニューの上から2番目に「ステータス」という項目があり、「出願・権利存続中」にチェックが入っている状態のはずです。
ここで、隣の「全て」の方にチェックをし直します。
はい、これで設定は完了です(笑)。
ちなみに、横に「出願却下を除く」という項目が、チェックの入った状態でピョンと出てきますが、これはそのままで良いでしょう。無視してOKです。
この状態のままで、いつも通りの商標検索をすれば、登録拒絶になった商標を始め、上述の「死んでしまった状態」の商標も、あわせて検索結果に表示されるようになります。
なお、この設定は自動保存がされるわけではありませんので、ブラウザを閉じたり、新しいウインドウやタブで「J-PlatPat」を追加で開いたりした場合には、その都度設定する必要があります。
・実際に登録拒絶例を検索してみましょう!
それでは、練習で実際に登録拒絶例を検索してみましょう。
今、ちょうど「お好み焼き」と「ハンバーガー」が食べたいなぁと思っていて思い付いたのですが(笑)、今回は「お好み焼きバーガー」の商標を検索してみましょう。
先程の設定をした状態で、「商標(マーク)」の3段目の「称呼(類似検索)」の「キーワード」の入力フォームに、「オコノミヤキバーガー」と入力します。
入力ができたら、画面一番下にある「検索」ボタンをクリックしましょう。
以下のような検索結果が表示されるはずです。
「お好み焼きバーガー」そのものズバリが、検索結果の一番上に出てきました!
ここで、「ステータス」を見ていただくと、この商標は、「終了-出願-拒絶/却下又は無効」となっていることがわかります。さらに「経過情報」で「拒絶理由通知」を確認すると、この商標は主に識別力がないという理由で、登録拒絶がされたことがわかります。
ということは、これから「お好み焼きバーガー」を商標出願しようとしても、審査では同じように識別力がないと判断されて、登録拒絶となる可能性が高いということが予測できるわけです。
これにより、「じゃあ、出願するのはやめておこう」という判断ができます。
もし、これを知らずに商標出願にチャレンジしていたら、出願料や、かけた労力が無駄になってしまう可能性が高いところでした。事前に登録拒絶となった商標を検索できると、こういった点でも役に立つのです。
ちなみに、検索結果では5件の商標が表示されていますが、いずれも「死んでしまった状態」です。よって、上述の設定変更をせずに、いつも通りに検索をすると、ヒット件数は0件になります。(やってみてください)
こんな感じで、ぜひ、いろいろな条件で検索して愉しんでみてください。
大昔に登録されていた、興味深い商標が見付かるかもしれません。
というわけで、今回は、「J-PlatPat」で登録拒絶になった商標を検索結果に含める方法について、ご紹介しました!
========================
<このブログの筆者の弁理士事務所はこちら>
・紫苑商標特許事務所
<筆者への仕事のご依頼>
・本ブログからのお問い合わせ
・Twitterでは、更新情報をお知らせしております!
ぜひ、フォローしてみてください。
========================