商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

「七夕」の商標登録を検索して愉しむ

今日は、7月7日。「七夕」です。

 

日本では、「七夕の日には、織姫と彦星が1年に1度だけ天の川で会うことができる」という言い伝えがよく知られていますね。歳をとってくると、1年に1度でも意外と早く感じますが(苦笑)、とてもロマンチックな話だと毎年思います。

 

ところで、この「七夕」にちなんだ商標って、あるのでしょうか?

 

ハロウィンやバレンタインデーのように、「七夕」も商売のネタ(?)にできますから、これに由来する商品・サービスの商標があっても、おかしくはないと思います。

 

ただ、そうはいっても基本的に「1年に1日限定」のイベント。
そのために、わざわざ商標登録までするかと言われれば、正直疑問です。

 

というわけで、今回は「七夕」に関する商標登録を調べてみたいと思います。

 

・「七夕」に関する商標登録の一例

七夕」に関する商標登録を調べるには、例によって「J-PlatPat」を利用しましょう。
※リンク先は、ブラウザの「新しいタブで開く」などで開いてください。

 

今回は、「商標(検索用)」の検索項目を使うことにします。
キーワード」の入力フォームに、「?七夕?」と入力します。
入力ができたら、一番下にある「検索」ボタンをクリックしましょう。

 

52件がヒット!
(※2023年7月7日現在)

 

やはり、思っていたよりは少ないですね。

 

このうち2件が現在、審査中・審査待ちの状態となっていますので、商標登録がされているのは50件といった感じです。なお、今回は漢字の商標しか調査対象としていませんので、「七夕」関連の商標としては、もう少し数は多いと思われます。

 

では、具体的にどんな商標があるのでしょうか。
登録商標の一例を、実際に見てみましょう。

 

・「七夕」(登録0669818号)
・「七夕娘」(登録1651271号)
・「七夕伝説」(登録3021889号)
・「七夕物語」(登録4096975号)
・「七夕のおせち」(登録5272576号)
・「七夕さま」(登録5461513号)
・「みちのく七夕彩」(登録5598762号)
・「七夕茶(※ロゴ)」(登録5642167号)
・「七夕ろまん」(登録5830891号)
・「七夕青蜜柑」(登録5836249号)
・「七夕美人」(登録5990523号)
・「七夕水」(登録6102216号)
・「七夕時計店」(登録6172531号)
・「七夕のかほり」(登録6259137号)

 

なるほど、興味深い!!
なんとなく、「綺麗」なイメージの語の商標が多いですね。

 

ざっと見た感じ、商品分野としては、菓子、パン、お茶などが含まれる第30類の登録が多いようです。「七夕」の文字の識別力については、あまり厳格な判断はされていない印象です。

 

ちなみに、一番古い「七夕」(登録0669818号)は、昭和38年出願、昭和40年登録となっています。指定商品は、第30類「穀物の加工品」です。

 

・「織姫」に関する商標登録の一例

「七夕」ついでに、「織姫」と「彦星」に関する商標登録も調べてみましょう。
まずは、「織姫」からチェックしてみます。

 

上述のJ-PlatPaltの「キーワード」の入力フォームに、「?織姫?」と入力して、「検索」ボタンをクリックします。

 

21件がヒット!!
(※2023年7月7日現在)

 

1件が現在審査中となっておりますので、登録商標は20件になりますね。
なお、このうち7件が、そのまま「織姫」の文字からなる商標です。

 

ちなみに、近年の特許庁の審判事件(拒絶査定不服審判)で、商標「織姫レタス」と商標「織姫」の類似性(似ているかどうかという点)が争われたものがあります。

 

特許庁は、最終的に両商標は「非類似(似ていない)」と判断しました。
以下に、その審決の一部を引用いたします。

 

4  当審の判断
(1)本願商標について
  本願商標は,・・・「織姫レタス」の文字を横書きしてなるところ,当該文字の構成が「織姫」の漢字と「レタス」の片仮名とで文字種が相違しているとしても,全て同じ書体,同じ大きさ,等間隔をもって表してなるものであるから,視覚上,まとまりよく一体的に看取されるものであって,「織姫」の文字部分が殊更看者に対して強く支配的な印象を与えるという構成であるとはいえない。

 

  また,本願商標から生じる「オリヒメレタス」の称呼も冗長というものではなく,無理なく一連に称呼できるものである。

 

  そして,本願商標の構成中の「織姫」の文字が「機を織る姫。」(広辞苑第七版)等の意味を有し「レタス」の文字が本願商標の指定商品との関係で,商品の名称又は品質を表すとしても,かかる構成においては,構成全体をもって一連の造語であると理解させるものである。

 

  そうすると,本願商標からは「オリヒメレタス」の称呼のみを生じ,特定の観念は生じないものである。

 

(2)引用商標について
  引用商標は,・・・「織姫」の文字を横書きしてなるところ,その構成文字に相応した「オリヒメ」及び「機を織る姫。」等の称呼及び観念を生ずるものである。

 

(3)本願商標と引用商標の類否について
  外観については,本願商標と引用商標は,上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ,「レタス」の文字の有無により,外観上明確に区別できるものである。

 

  次に称呼については,本願商標から生じる「オリヒメレタス」の称呼と引用商標から生じる「オリヒメ」の称呼とを比較しても「レタス」の音の有無により明確な差異があるから,両者は称呼において相違する。

 

  また,観念については,本願商標は特定の観念を生じないものであるのに対し,引用商標からは「機を織る姫。」等の観念を生じるものであるから,本願商標と引用商標とでは観念上においても相違する。

 

  そうすると,本願商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがないから,互いに非類似の商標というべきである。

(不服2021-010078)

 

ちなみに、「織姫レタス」の指定商品は、第31類「レタス,レタスの種子,レタスの苗」です。この特許庁の判断には、賛否あるところだとは思います。

 

・「彦星」に関する商標登録の一例

最後に、「彦星」に関する商標登録をチェックしてみましょう。

 

同様に、「キーワード」の入力フォームに「?彦星?」と入力して、「検索」ボタンをクリックします。

 

4件ヒット!!
(※2023年7月7日現在)

 

少ないです!!

 

まぁ、何となく予想はしていましたが(笑)。
やはり、どちらかといえば「織姫」の方が人気のようですね。

 

このうち3件が、そのまま「彦星」の商標です。
残る1件の商標は、「織姫と彦星」。権利者は、株式会社中村屋です。

 

というわけで、今回は「七夕」に関連した商標登録を検索してみました。
それにしても、世の中にはいろいろな商標がありますね。
やっぱり、商標は面白いです!!

 

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