商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

商標登録をしていないのが気になっている方へ

「商標登録」のことは知っている。
でも、自分はしたことがない。

 

このような事業者の方々は、実は少なくないと思います。

 

日本国内では、1年間に約18万件の商標登録出願がされています。
「18万」と聞くと、かなり多いようにも感じますが、国内の事業者の数を考えれば、ごくわずかだと言っても良いかもしれません。

 

たしかに、商標登録をするかどうかは任意であって、事業者の義務ではありません。「かける予算がないから」、「メリットがよくわからないから」、「規模が小さいから」、「まぁ、多分しなくても大丈夫だろうと思っている」などの理由で、商標登録のことは知っていても、実際にはしていないという事業者の方々は、意外と多いというのが実状ではないかと思われます。

 

「商標の恐ろしさ」を痛感している我々商標の専門家からすれば、そのような状況は「おっかないなぁ・・・」というのが本音ですが、まぁ「予算がない」というのが理由ならどうしようもありませんので、ある程度はやむを得ないケースもあるのかもしれません。

 

なお、商標登録をしないリスクについては、当事務所の「商標登録をしないとどうなるのか」のページで詳しく解説していますので、ご参照いただければと思います。

 

ところで、「商標登録はしていないけれど、していないことが実は気になっている」という事業者の方々もまた、少なくないのではないでしょうか。

 

なんとなく後ろめたいというか、モヤモヤしている。
真面目な性格の経営者の方ほど、このような感じかもしれません。

 

そのような方々に、ぜひ知っておいてほしい点があります。

 

それは、「たとえ商標登録をしない場合でも、絶対にやっておくべきことがある」ということです。必ずしも、商標登録をする・しないの二択だけで終わるわけではないのです。

 

では、その「絶対にやっておくべきこと」とは何でしょうか?

 

それは、「自分の商標を使うことが、他人の商標権を侵害していないかを確認すること」です。すなわち、商標権の侵害チェックです。

 

このチェックだけは「必須」だと言っても、決しておおげさではないでしょう。

 

実際、事業者が知らない間に他人の商標権を侵害しているというケースは決して少なくありません。多くの場合、商標権者から侵害を指摘されて、初めて気づくものです。そして、「これは大変なことになった・・・」と慌てるのがよくあるパターンです。

 

商標権の侵害は、侵害側の当事者となってしまうと、まず軽い話では済みません。
多くの場合、一度トラブルになればそれなりの費用・時間・労力を要します。
最悪の場合、そこからゴタゴタした結果として、倒産や廃業につながる可能性だって否定はできないでしょう。

 

ですから、健全に事業を続けていく上では、なんとしてでも他人の商標権の侵害は避けなければならないのです。

 

ちなみに、仮にトラブルになっても、「いや~、侵害しているなんて知らなかったんですよ~」と相手方に謝れば済むと思っている方もいるかもしれません。しかし、基本的に「知らなかった」という言い訳は、商標権侵害では通用しませんので、注意が必要です。相手が温厚で、それで済めばラッキーですが、楽観すべきではありません。

 

では、そのチェックはどうやってすれば良いのでしょうか。

 

とりあえずは、弁理士や特許事務所に相談することです。

 

そこで、「商標調査」を提案されるはずです。
使用可能性調査」と呼んでいる場合もあるかもしれませんね。

 

この「商標調査(使用可能性調査)」を実施することで、他人の商標権を侵害している可能性がある程度はわかります。調査の結果、セーフであればそれで一安心ですし、アウトであれば一刻も早くその商標の変更や使用中止を検討すべきでしょう。グレーの場合は、(良い弁理士であれば)必ず何らかのアドバイスをくれるはずです。

 

なお、たとえセーフの場合でも、あくまで調査時点での話であり、いつまでも安心というわけではありません。将来的には状況が変わる可能性も十分にありますので、やはり自分が商標登録を済ませてしまうのがベストです。

 

商標登録をしない場合でも、必ず「商標調査(使用可能性調査)」だけはやっておく。
商標登録は義務ではないものの、商標調査は実質的に必須。

 

この点は、ご自身のリスクヘッジの観点からも、ぜひ事業者の方々に覚えておいていただきたいところです。

 

ちなみに、「商標調査(使用可能性調査)」を行なうタイミングとしては、当然ですが、その商標の使用を開始する前が望ましいです。

 

商標を考えたら、まずは商標調査を行なう。
そして、問題がなければ商標登録を試みる。

 

たしかに多少の費用や時間はかかりますが、この王道のやり方がもっとも安心・安全なのは間違いないでしょう。

 

商標登録をしていなくて、それがずっと気になっていたり、心配したりという状況を続けるくらいなら、やはり少なくとも商標調査だけはパパっと済ませておいた方が、心理的にも負担がかからないのではないでしょうか。

 

このような状況の事業者の方々、ぜひ検討してみてください。

 

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