商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

特定の弁理士が関わった裁判例を調べる方法

一般的に「弁理士」というと、「対特許庁」の仕事というイメージが強く、弁護士のように裁判と関わることはあまりない印象かもしれません。

 

たしかに、実際のところはその通りなのですが、弁理士がまったく裁判(訴訟)に関わることがないというわけでもありません。

 

商標弁理士の場合、裁判(訴訟)に関わるのは、主に2つのパターンがあると言えます。

 

1つは、審決取消訴訟の訴訟代理人となるケースです。

 

商標に関する拒絶査定不服審判、無効審判、不使用取消審判などの審決に不服の場合は、「審決取消訴訟」を提起することができますが、これらの依頼人代理人として関わることになるケースですね。

 

なお、登録異議申立ての「取消決定」に不服がある場合も、同様に取消訴訟を提起することができ、弁理士は訴訟代理人として関わることがあります。

 

もう1つは、商標権侵害訴訟で補佐人となるケースです。

 

審決取消訴訟とは異なり、侵害訴訟においては、弁理士は単独で訴訟代理人となることはできません。よって、侵害訴訟の場合は、弁護士が訴訟代理人となり、弁理士はあくまで補佐人として関わることになります。

 

ただし、特定侵害訴訟代理業務試験に合格している、いわゆる「付記弁理士」であれば、弁護士と共同して訴訟代理人となることができます(※その場合でも、弁理士が単独で訴訟代理人となれるわけではない)。

 

さて、ある弁理士が、こういった裁判(訴訟)にどれくらい関わっているかを知りたいという方もおられるのではないでしょうか。たとえば、知り合いの弁理士先生が、過去にどれくらい訴訟に関わった経験があるかを知りたい、と思う方もおられるかもしれません。

 

この点、完全な検索結果が出るわけではありませんが、裁判所のホームページにある「判例検索」を使うと、ある程度の検索は可能です。あくまで、ざっくりした検索方法となりますが、やり方は難しくはありませんので、ちょっとやってみましょう。

 

1.裁判所のホームページの「検索条件指定画面」を開きます。
※「新しいタブで開く」などの方法で開きます。

 

2.「最高裁判所判例集」や「高等裁判所判例集」などが選べますが、デフォルトの「統合検索」のままでOKです。ちなみに、なぜかラベルには「統合検索」と表示されていますが、メニューには「総合検索」と表示されているのが謎です。

 

3.「全文検索」の一番左の上段の入力フォームに、調べたい弁理士のフルネームを入力します。たとえば、「〇△×□」。ちょっとわかりにくいので(笑)、今回は私の名前「永露祥生」を入力してみましょう。

 

4.実は、このままでは正しく検索結果が出ないことがほとんどです。
検索は、判決文にある文字を元に行なっているようですが、ここでの個人名の表記が、「〇△×□」ではなく、「〇 △  × □」のように、それぞれの漢字の間にスペースが入っているケースが多いことが原因かと思われます。

 

というわけで、続けて「全文検索」の一番左の中段の入力フォームに、調べたい弁理士のフルネームの各漢字の間にスペースを加えた、「〇 △ × □」を入力します。私の名前の場合は、「永 露 祥 生」と入力します。

 

なお、少し昔の裁判例であれば、「〇△×□」で検索されるようですが、最近の裁判例は、スペースを入れないと出てこない印象があります。

 

これにより、判決文の中に、「永露祥生」または「永 露 祥 生」が含まれている裁判例を検索条件に設定したことになります。

 

判例検索の入力画面

 

↑ここまでの入力画面例です。

 

5.ページ下部にある「検索ボタン」をクリックします。
私の名前で検索した場合、7件がヒットしました。
右端の「全文」のリンクをクリックすると、それぞれの判決を読むことができます。

 

判例検索の検索結果画面

なお、検索画面にも注意書きがあるように、全ての裁判例がこのデータベースに掲載されているわけではありません。中には出てこないものもあります。また、理由はよくわかりませんが、(判決のデータは存在するのに)上述の検索方法では出てこない裁判例も確認しています。本記事でご紹介したのは、あくまで不完全な簡易的検索方法であるという点、あらかじめご理解ください。

 

また、当然ながら判決が出た事件しか掲載されておりません。
ですので、ある弁理士の名前で検索した結果、裁判例がまったく出てこなかったからといって、必ずしもその弁理士に訴訟関連の経験がないとは限りません。この点は、くれぐれも注意をする必要があります。

 

というわけで、はっきり言ってしまえば、興味本位的な意味合いの強い検索になるかと思いますが、中には「へぇ~、あの弁理士はあの弁護士と繋がりがあるんだ~。」などということが読み取れたりもしますので、(特に弁理士は)この検索方法を知っていて損はないのではないかと思います(笑)。


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