商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

「シン・〇〇〇」商標を検索して愉しむ

最近、「シン・仮面ライダー」の話題をよく見聞きします。
同タイトルの映画が公開されているようですね。

 

以前には、「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」といったタイトルの映画もあったそうで、この「シン」の文字には、「新」、「真」、「震」などの様々な意味が込められていると言われているようです。

 

ちなみに、これらに便乗したのかどうかわかりませんが、東京都では「シン・トセイ」というネーミングをプロジェクト名として採用しているようです。

 

近年は、他にもこの「シン・〇〇〇」というワードを、よく見聞きするような気がします。もしかすると、事業者の商品やサービスのネーミングとしても、使われているのかもしれません。そうであれば、「商標」として、採用されているのかもしれません。

 

ということで、今回は、この「シン・〇〇〇」といったネーミングの商標登録について調べてみましょう!

 

「シン・〇〇〇」の商標登録の検索方法

調べ方は、いつもと同じで簡単です(笑)。

※あくまで、簡単にできるざっくりとした検索方法となりますので、完璧な検索結果が得られるとは限らない点、あらかじめご了承ください。

 

まずは、特許庁のデータベース「J-PlatPat」にアクセスします。

※「新しいタブで開く」などでリンク先のページを開いてください。
今回は、「商標(検索用)」の検索項目を利用します。
キーワード」の入力フォームに、「シン・?」と入力します。
入力ができたら、一番下にある「検索」ボタンをクリックします。

 

すると、57件がヒットしました。(2023年6月12日現在)
意外と多い!!
なお、このうち12件はまだ審査結果が確定しておりませんので、すでに商標登録が認められた商標としては、45件あるということになります。

 

出願日を見てみると、2021年以降に急増しているように見受けられます。
特に昨年2022年に出願されたものが多い印象ですね。
やはり、最近になって「シン・」というワードが特にブレイクしたのでしょうか。

 

「シン・〇〇〇」の商標登録の一例

では、実際の登録商標の一例を見てみましょう。

 

・「シン・ゴジラ」(登録5844048号)
・「シン・ゴジラ」(登録6021246号)
・「シン・ウルトラマン」(登録6261689号)
・「シン・スクール」(登録6320194号)
・「シン・カバン」(登録6320298号)
・「シン・テレワークシステム」(登録6451566号)
・「シン・レンタルサーバ」(登録6482295号)
・「シン・仮面ライダー」(登録6490293号)
・「シン・トセイ」(登録6521996号)
・「シン・ドメイン」(登録6548366号)
・「シン・マクラ」(登録6548459号)
・「シン・オートコール」(登録6605032号)
・「シン・ダイヤモンド」(登録6611931号)
・「シン・テレワーク」(登録6617728号)
・「シン・乳酸菌」(登録6620431号)
・「シン・VPS」(登録6627916号)
・「シン・チキンカツ」(登録6656484号)
・「シン・チャッカザイ」(登録6662647号)
・「シン・チートメシ」(登録6668288号)
・「シン・ブログ」(登録6699449号)
・「シン・バイオマス」(登録6700037号)

 

上述した映画のタイトル、東京都のプロジェクト名も商標登録されていますね。
また、やはり構成やイメージの特性上、「シン・〇〇〇」の「〇〇〇」の部分に該当するワードは、シンプルなものが多いと言えそうです。

 

ちなみに、これらの登録例を見る限り、特許庁は「シン・」を「新」、つまり「新しい」という意味合いだけがある語とは認定していないようで、この語に識別力がないとは判断していない模様です。おそらく、上述したように、「シン」に相当すると考えられる漢字が、いくつもあることが理由でしょう。

 

ということは、「シン・弁理士」とか「シン・特許事務所」も、出願すれば登録可能性があるということでしょうか(笑)。まぁ、個人的には、さすがに諸々の理由から出願・登録をするのはやめておいた方が良いと思いますが。

 

今後の「シン・〇〇〇」商標の採用についての雑感

2023年に入ってからも、「シン・〇〇〇」の商標の出願はポツポツとあるようです。
今後も、それなりの数が出願されることが予想されます。

 

ただ、上述のような映画のタイトルのものはともかく、これに便乗したと思われるような「シン・〇〇〇」の商標の採用については、賛否両論あろうとか思われます。

 

また、言葉としての流行性もあるでしょうから、数年後、数十年後のことまで踏まえると、はたして商品やサービスの商標として採用することが好ましいかどうかは疑問です。5年くらい経ったら、逆に「古臭さ」を感じる商標になってしまうかもしれないからです。

 

個人的には、その他の理由も含め、「シン・〇〇〇」商標の採用は、慎重になった方が良いのではという気がしています。

 

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