商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

弁理士の経験年数の調べ方

インターネット上には、特許事務所のホームページがたくさんあるけど、所属する弁理士にどれくらいの経験があるのかが、よくわからない。

 

このような声を、たまに聞くことがあります。

 

たしかに、弁理士の紹介ページなどに、出身大学とか、肩書きとか、なんだかすごそうな人を思わせるプロフィールが書かれていることはよくありますが、肝心の弁理士としての経験について述べられているものは、あまりない印象があります

 

ところで、私が、たとえば通院するクリニックを選ぶ際には、そこのお医者さんや歯医者さんにどれくらいの経験があるかを、「医師等資格確認検索」を使って事前に調べることがあります。この検索結果には、「登録年」が出てくるので、その医師等のおおよその経験年数を知ることができます。

 

同じように、弁理士への依頼などをお考えの方々が、その弁理士にどれくらいの経験があるのかを、事前に知っておきたいと思っても、まったくおかしいことではないでしょう。

 

そこで今回は、「弁理士の経験年数の調べ方」について少しお話したいと思います。

 

・「弁理士ナビ」を使えば、弁理士の登録期間がわかる

日本弁理士会では、「弁理士ナビ」という検索サービスを提供しています。

 

弁理士ナビでは、地域、相談内容、専門分野等を指定することで、その条件に合った弁理士や特許事務所を探すことができます。また、それぞれの基本情報も公開されています。

 

この公開されている弁理士の基本情報の中には、「登録年月日」と「通算登録期間」が含まれています。これらの情報をチェックすることで、弁理士としての経験年数がどれくらいあるのかがわかります

 

具体的な調べ方の手順は、以下のとおりです

 

1.弁理士ナビ」にアクセスします。

 

2.上段の右側に、「弁理士を探す」という項目の入力フォームがありますので、ここに調べたい弁理士の氏名を入力します。入力ができたら、「検索」ボタンをクリックします。

 

私のように珍しい名字であれば、名字だけの入力でもOKですが、たとえば「佐藤」さんのようにたくさんいる名字の場合は、フルネームを入力した方が良いでしょう。名字と名前の間に、スペースは入れても入れなくてもOKです。

 

3.検索結果に弁理士のデータが表示されますので、一番右にある「詳細」をクリックします。

 

4.その弁理士の基本情報などが表示されます。

情報項目の中に、「登録年月日」と「通算登録期間」がありますので、これらの情報をチェックすればOKです

 

なお、公開されている情報には、基本情報(項目欄の背景が薄い黄色)と任意情報(項目欄の背景が薄い灰色)があります。任意情報には、その弁理士の専門分野や出身校などの情報があります。情報を設定・公開するかはその弁理士の任意となりますので、表示されないケースも比較的多いですが、もし表示されている場合は、参考情報としてチェックすると良いでしょう。

 

・「通算登録期間」=「実務経験年数」ではない点に注意

上述の「通算登録期間」の情報によって、検索した弁理士が、弁理士としてどれくらいの経験年数があるかを、概ね知ることが可能です。

 

ただし、この「通算登録期間」=「実務経験年数」ではない点には、注意が必要です。
「通算登録期間」は、あくまで弁理士登録をしてからの期間を意味するものです。

 

たとえば、特許事務所や企業知財部等で20年の実務経験の後に弁理士試験に合格し、弁理士登録をした場合。1年後の「通算登録期間」は「1年」ですが、「実務経験年数」は「21年」ということになります。実際、このような感じの人も少なくないと思います。

 

よって、登録期間が短いからといって、必ずしも実務経験が浅いとは限りません
このあたりは、その弁理士の公開プロフィールから推測・判断するしかないでしょう。
もっとも、弁理士としてでなければ経験できない実務も多くあるという点には、留意が必要だと思います。やはり、弁理士としての経験年数は重要でしょう。

 

ちなみに、まれだとは思いますが、「登録だけしている人」というのも、おそらくいると思われます。弁理士登録はしているけれど、弁理士としての仕事はしていないという人です。この場合には、必ずしも「通算登録期間」=「弁理士としての経験年数」にはなりません。こういった弁理士が検索の対象になることはあまり考えられませんが、念のため。

 

・「登録番号」について

弁理士ナビで検索できる基本情報の中には、「登録番号」もあります。

 

我々弁理士の中では、この登録番号だけで、弁理士としてどれくらいの経験年数があるのか、だいたい予想が付きます。

 

登録番号は、大きければ大きいほど「最近」ということになります。
現在(※2024年1月下旬)では、「23200」番台が最新番号のようです。
近年は弁理士試験合格者の数が少ないので、24000番台までには数年かかると思われます。

 

ちなみに、4ケタの登録番号の弁理士は、大ベテランです
「レジェンド級」の弁理士と言っても、間違いではないと思います。
ただ、その数も、今ではかなり少なくなっていると思われます。

 

なお、まれに「再登録」をしている弁理士もいます。
一度、何らかの事情で登録抹消をして、後で再登録をしている弁理士です。
これにより、新しい登録番号になっている場合があります。
よって、比較的最近の登録番号でも、「通算登録期間」は長いという弁理士も中にはいます

 

登録番号が自分よりもかなり後ろなので、後輩だろうと思って偉そうにしていたら、実は大先輩だったなんてこともあり得ますので(笑)、この点には弁理士も注意が必要です。

 

というわけで、今回の記事では、「弁理士ナビ」を使った「弁理士の経験年数の調べ方」についてお話いたしました。今回は商標とは関係のない内容でしたが、ご参考になれば幸いです。

 

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「アルファベット3文字の商標は商標登録できますか?」という相談

アルファベット3文字の商標は商標登録できますか?

 

このような相談を、意外と多く受ける気がします。

 

わが国では、会社名や団体名の略称として、アルファベット3文字の名称が好んで使われる傾向があるように思います。皆様も、すぐにパッと思い浮かべられるものが、5つくらいはあるのではないでしょうか。

 

もちろん、商品名やサービス名として、アルファベット3文字が採用されることもあるでしょう。たとえば、何らかのシステムに関するものの名称には、比較的多い印象があります。

 

こういったアルファベット3文字の名称などが、商品やサービスの「商標」として使われることも少なくありません。そのような商標を採用した事業者の方々が、主に標題のような疑問を抱かれるのだと思われます。

 

今回の記事では、この点について少しお話してみたいと思います。

 

・「アルファベット3文字」は商標登録し得る

結論から言うと、「アルファベット3文字」の商標という理由だけで、商標登録が認められないということはありません。

 

一般的な文字商標と同じように、特許庁の審査で拒絶理由が発見されなければ、商標登録は普通に認められることになります。

 

実際に、多くのアルファベット3文字の商標に、商標登録が認められています。
たとえば、「NTT」、「TBS」、「NEC」、「YKK」、「SBI」など、有名どころだけでも、多くの登録例があります。もちろん、そこまで有名ではないものも多数あります。

 

日本商標協会(JAPAN TRADEMARK ASSOCIATION)の「JTA」も、ちゃんと商標登録がされていますね(登録第5447092号)。

 

・「アルファベット3文字」の場合に注意が必要な拒絶理由

上述のように、「アルファベット3文字」の商標であっても、特許庁の審査で拒絶理由が発見されなければ、商標登録をすることは可能です。

 

すなわち、商標登録が認められるためには、指定商品・指定役務との関係で、そのアルファベット3文字が自他商品役務の識別力を発揮できることや、先行する同一または類似の登録商標が存在していないことなどが条件となるのは、一般的な文字商標の場合と同様です。

 

ただ、アルファベット3文字の商標の場合は、これに加えて、登録条件として特に注意すべき点があります

 

具体的には、たとえば、その商標登録をしようとするアルファベット3文字の商標が、① すでに有名となっている他人の会社名等の名称や略称と同一・類似の場合、② 国際機関の名称と同一・類似の場合、③ 有名な公益団体等の名称と同一・類似の場合などは、登録が認められない可能性が高まります。

 

J-PlatPatの「商標検索」などのデータベースを用いた一般的な商標調査だけでは、こういった登録条件の事前チェックを見落とす可能性がありますので要注意です。「アルファベット3文字」の商標の商標登録を検討する際には、事前にインターネット検索や辞典などによるチェック、J-PlatPatの「日本国周知・著名商標検索」や「不登録標章検索」の併用によるチェックも忘れないようにしましょう。

 

なお、場合によっては商標登録ができないだけでなく、実際に使用をすれば問題となることもあり得ますので、慎重な検討が必要です。商標調査や事前チェックについては、アルファベット3文字の商標の「採用前」に済ませておくことが理想的です。

 

というわけで、今回は、「アルファベット3文字の商標は商標登録できるのか?」という点について、少しお話しました。

 

一般的な文字商標と同様に、登録条件を満たせば商標登録をすることはできますが、「アルファベット3文字」の商標の場合は、これに加えて特に注意すべき登録条件もあるという点を、ぜひ覚えておいてください。なお、今回の記事は、あくまでわが国(日本)での商標登録に関するお話となります。

 

事業者が、自社を表示する商標として、アルファベット3文字を使っていながら、商標登録を失念しているケースも意外と見かけます。「商標」としても使用するのであれば、やはり1日も早く出願をすることがお勧めされます。

 

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【法改正】「他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和」で懸念される世間での誤解③

2024年4月1日から、「他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和」されることにより、世間において以下のような誤解が生じるおそれが、個人的に懸念されます。

 

・誤解その1「氏名の商標登録がはじめて認められるようになる」
・誤解その2「氏名が商標登録されると、同じ氏名が名乗れなくなる」
・誤解その3「他人の氏名を先に商標登録すれば商売になる」

 

前回の記事では、「誤解その2」について、前々回の記事では、「誤解その1」についてお話をしました。

astermarks.hatenablog.com

astermarks.hatenablog.com

 

今回は、引き続き「誤解その3」について、お話したいと思います。

 

・誤解その3「他人の氏名を先に商標登録すれば商売になる」

いつの時代でも、「お金になりそうなことを嗅ぎつける」のが得意な人というのはいるものです。

 

今回の商標法改正で、他人の氏名を含む商標が登録しやすくなる結果、「それなら、他人の氏名を先に商標登録すれば商売になるのではないか」という発想に至った人も、おそらく一定数は存在するのではないかと推測されます。

 

たとえば、あらかじめ無関係な他人の氏名を商標登録しておいて、同じ氏名の事業者等に売りつけることで利益を得ようなどとする考えです。

 

これはまさに、いわゆる「商標トロール」とか「商標ゴロ」と呼ばれるような人たちの考え方であり、健全でないことは言うまでもありません。一般的な常識感覚を持っている人であれば、このようなことは当然許されるべきではないと感じるものです。しかし、この広い世の中には、そういう感覚を持ち合わせていない人も存在しているのが現実です。

 

法改正後も、知名度がある他人の氏名を含む商標は、依然として商標登録が困難です。よって、ターゲットにされやすいのは、おそらく「微妙な知名度を有する人」とか「これから有名になりそうな人」の氏名になるのではないかと考えられます。たとえば、タレントやモデルなどの卵、新進気鋭のデザイナーやクリエイター、各業界における専門家、書籍等の著者、インフルエンサーなどの氏名が狙われるおそれがあるかもしれません。

 

しかし、当然ながら、そのような悪質な行為が簡単に許されるはずがありません
改正後の商標法でも、こういったことが生じないように、ちゃんと手当てがなされています。

 

ここで、もう一度、関連する改正後の商標法の規定を見てみましょう。

 

(商標登録を受けることができない商標)
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。


八 他人の肖像若しくは他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)又は他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの


※傍線は筆者による

 

 

ここでのポイントは、後段にある「政令で定める要件」です。

 

この規定によれば、「他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの」については、依然として商標登録は認められないとされています。「政令で定める要件に該当しないもの」という表現は少々わかりにくいですが、要は「政令にある条件を満たしていない場合は登録できない」ということです。

 

そして、この政令にある条件とは、具体的には次のこととされています。

 

第一条 商標法第四条第一項第八号の政令で定める要件は、次の各号のいずれにも該当することとする。


一 商標に含まれる他人の氏名と商標登録出願人との間に相当の関連性があること。


二 商標登録出願人が不正の目的で商標登録を受けようとするものでないこと。

 

つまり、商標登録をしようとする商標にある他人の氏名が、(1)出願人との間に相当の関連性があるものであって、かつ、(2)出願人が不正の目的で商標登録を受けようとしていない場合に限り、他人の氏名を含む商標の商標登録を認めるということです。(この条件は、他人の氏名の知名度にかかわらず、満たす必要があります。)

 

逆にいえば、出願人とはまったく関連性のない他人の氏名を商標登録しようとしたり、それこそ他人に売りつける悪徳な意図があるような不正の目的で商標登録をしようとする場合には、たとえそれが知名度のない他人の氏名を含む商標であっても、商標登録は認められないということです。(なお、知名度のある他人の氏名を含む商標については、その他人から承諾を得ていても、このような場合には同様に商標登録が認められないことになります。)

 

というわけで、「他人の氏名を先に商標登録すれば商売になるのではないか」という考えは、誤解どころか、まったく無意味なものとなります。まぁ、当然のことです(笑)。このような不心得な目的で商標登録出願をしても、出願料を無駄にするだけですので、くれぐれもやめましょう。

 

ただ、現時点では、「出願人との間に相当の関連性があるかどうか」や「出願人に不正の目的があるかどうか」について、特許庁の審査で具体的にどのように判断がされるのかが明らかではありません。この判断方法が緩かったり、曖昧だったりすれば、不心得な人たちの商標登録を認めてしまう結果となり、社会で余計なトラブルが生じることが懸念されます。

 

この点、特許庁の運用は可能な限り厳格にすべきと、個人的には考える次第です。

 

というわけで、今回は3回の記事にわたり、「他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和」されることによって個人的に懸念している、世間で生じ得る3つの誤解についてお話いたしました。以上が、皆様のご参考になれば幸いです。

 

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【法改正】「他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和」で懸念される世間での誤解②

商標法改正により、2024年4月1日から「他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和」されることになります。

 

この改正点については、一般の人々に「商標登録制度」があまりよく理解されていない現状を踏まえると、今後ニュースなどの報道で取り上げられた際に、世間において以下のような誤解が生じるのではないかと、個人的に懸念しているところです。

 

・誤解その1「氏名の商標登録がはじめて認められるようになる」
・誤解その2「氏名が商標登録されると、同じ氏名が名乗れなくなる」
・誤解その3「他人の氏名を先に商標登録すれば商売になる」

 

前回の記事では、「誤解その1」についてお話をしました。

astermarks.hatenablog.com

 

「誤解その1」については、少し乱暴に言ってしまえば、たとえ一般の方々に誤解されたとしても、実害はほとんどないと考えられます。しかし、この「誤解その1」によって、「誤解その2」に結び付く可能性は高まると言わざるを得ません。

 

そして、この「誤解その2」こそ、一般の方々に余計な不安や心配を生じかねないという点で、もっとも実害があると考えられます

 

というわけで、今回は、引き続き「誤解その2」について、お話したいと思います。

 

・誤解その2「氏名が商標登録されると、同じ氏名が名乗れなくなる」

今回の法改正によって、氏名についての商標登録がしやすくなるという点は、前回の記事でお話した通りです。

 

その結果、

ある氏名が商標登録されると、同じ氏名が名乗れなくなるのではないか?」。

このような誤解を生じる一般の人々が多く出てくるのではないかと、懸念されます。

 

世間では相変わらず、「商標登録=言葉の独占」という誤解が根強い印象です。
商標登録を、「言葉の著作権」であるかのように誤って理解している人が少なくありません。
このような誤った理解をしていると、自分と同じ氏名が他人に商標登録されてしまった場合に、自分がその氏名を名乗れなくなるのではないかと心配になる気持ちも、たしかによくわかります。

 

しかし、結論から言うと、そのような心配をする必要はありません
仮に、自分と同じ氏名が誰かに商標登録されたとしても、それによって善良な一般の方々が、日常生活に支障をきたすようなことはまず考えられません

 

なぜなら、「商標」とは、商品やサービスの識別標識だからです。
「商標」を、商品やサービス、それらに関連する広告等に識別標識として使うなどしない限り、基本的に「商標権侵害」の問題とはならないのです。一般の方々が、日常生活で普通に名乗ったり、書類などに自分の氏名を書いたりすることとはまったく別の話です。

 

もっと大雑把に言えば、他人の商標登録というものは、基本的には「事業者」にしか関係のない話です。(※ただし、個人でもネット上などで何らかの商品を反復継続して売ったり等しているような場合は注意が必要です。) 多くの善良な一般の人々にとって、他人がした商標登録により何らかの影響を受けるということは、現実問題としてあまり考えられません。

 

なお、仮にあなたが事業者であっても、不正競争の目的がない限り、商品やサービスに自分の氏名を普通に表示することに対しては、商標権の効力は及ばないことが商標法には定められています。

 

(商標権の効力が及ばない範囲)
第二十六条 商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。

 

一 自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標

 

※傍線は筆者による

 

では、自分の氏名を「普通に用いられる方法ではない表示」で商品やサービスに使う場合、すなわち、商標的に使っている場合はどうなるのという疑問が生じるかもしれません。理屈としては、このような場合にはじめて、「他人の氏名の商標登録」に注意する必要があるということになるでしょう。

 

なお、特許庁のウェブサイトにある以下のQ&Aも参考になります。

Q1-6.氏名を含む商標を現在使用していますが、他人に当該氏名を含む商標を商標登録されてしまいました。今後使えなくなりますか。

 

 改正法の施行前から不正競争の目的ではなく氏名を含む商標を使用している場合は、改正法施行後も継続して、改正法の施行の際に使用している商品等に係る業務を行っている範囲内で、その商品等について当該氏名を含む商標を使い続けることができます(継続的使用権)。また、改正法施行の際に、使用している商標が需要者の間に広く認識されている場合には、上記業務を行っている範囲にかかわらず、継続してその商品等について当該商標を使い続けることができます。なお、自己の氏名を普通に用いられる方法で表示する場合は、他人の商標権の効力は及びません(商標法第26条第1項第1号)。

 

法改正によって、たとえば仮に自分の氏名と同じ氏名が他人によって商標登録されたとしても、すでにそれを商標として使っている範囲においては、引き続き使用が認められるということです。

 

というわけで、法改正によって氏名についての商標登録がしやすくなったとしても、一般の方々が、「ある氏名が商標登録されると、同じ氏名が名乗れなくなる」といったことにはなりませんので、くれぐれも誤解をして慌てないようご注意ください。

 

今回の法改正により注意が必要なのは、基本的には、自分の氏名や関連性の強い他人の氏名をブランド名として商品・サービスに使っているような事業者です。以前に商標登録にチャレンジしたけれどダメだったという事業者の方々は、再度のチャレンジを検討すると良いでしょう。また、これから自分の氏名を商品・サービスのブランド名として事業を展開していきたいという方々も、商標登録を検討されるのがよろしいかと思います。

 

なお、筆者の事務所ウェブサイトに「ファッションブランド・アパレル関係者のための商標登録」等のコンテンツもありますので、もしよろしければご参照ください。

 

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【法改正】「他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和」で懸念される世間での誤解①

昨年、商標法の改正があり、実務にも比較的大きな影響がある変更点が生じることになりました。その一つとして、「他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和」が挙げられます。

 

この変更点は、2024年4月1日から適用されることになります。

 

今後、当該時期が近付くにつれて、おそらく、メディアのニュース等で話題にされることも増えてくると予想されます。

 

しかし、相変わらず一般の人々には「商標登録制度」があまりよく理解されていない現状を踏まえると、今回の改正点についても、世間において様々な誤解が生じるのではないかと、個人的に危惧しています。

 

具体的には、次のような誤解が懸念されるところです。

 

・誤解その1「氏名の商標登録がはじめて認められるようになる」
・誤解その2「氏名が商標登録されると、同じ氏名が名乗れなくなる」
・誤解その3「他人の氏名を先に商標登録すれば商売になる」

 

そこで今回の記事では、このような「懸念される誤解」について、あらかじめ言及しておくことで、少しでも今後の一般の方々の誤解を減らせたらと思っております。

 

なお、一つの記事で全ての誤解について言及すると長くなりすぎるため、今回は3回に分けて書いていきます。

 

・誤解その1「氏名の商標登録がはじめて認められるようになる」

おそらく、商標法改正のニュースに接した一般の方々に多く生じるのは、今回の法改正によって「氏名の商標登録がはじめて認められるようになる」といった誤解ではないかと思います。

 

これまでも、氏名の商標登録が認められなかったわけではありません。
認められなかったわけではないのですが、そのハードルが高かったのです。

 

現行の商標法には、商標登録ができない商標の一例として、以下が挙げられています。

 

(商標登録を受けることができない商標)
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

 

八 他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)


※傍線は筆者による

 

この規定によれば、原則的な考え方として、「他人の氏名を含む商標」は商標登録ができないとされています。ただ、文末に「(その他人の承諾を得ているものを除く。)」とあるように、その他人から承諾をもらえれば、商標登録をすることは可能となります。

 

これだけ聞くと、さほど登録のハードルは高くないように感じられるかもしれません。
しかし、実際の場面を想定してみると、状況によってはかなり大変なことがわかります。

 

たとえば、仮に「工藤進一」(※仮名)さんが、「工藤進一」というファッションブランドを立ち上げて、これを商標登録しようと出願した場合。世の中にはおそらく、同姓同名の人がかなりいると思われますので、特許庁は主にインターネット上にある情報を元に、上記の規定を理由として、商標登録は認められないと判断することでしょう。

 

そこで、「じゃあ、承諾をもらえば・・・」という話になるわけですが、特許庁の拒絶理由通知には、おそらくそれなりの数の人が挙げられるはずです。それら全員から商標登録の承諾を得ることなど、現実的には不可能な話でしょう

 

考えてもみてください。そもそも、ある日突然、知らない人に「私は、あなたと同じ名前を商標登録したいのですが、承諾してもらえませんか?」などと交渉されて、快諾する人などいるでしょうか。めちゃくちゃ怪しまれて、警戒されるのがオチでしょう(苦笑)。

 

このような感じで、実際のところ、同姓同名の人が存在する氏名の商標については、商標登録をすることが困難だったわけです。そして、特に近年は、上記の登録要件が非常に厳しく判断される傾向にありました。

 

ちなみに、現在、同姓同名の人がいないような珍しい氏名であれば、すんなり商標登録できると考えられます。たとえば、私が自分の名前である「永露祥生」を商標登録しようとした場合、おそらく同じ氏名の他人は世の中に存在しないので、(他に拒絶理由がなければ)審査では引っかからないと思われます。

 

少し話がそれました。
しかし、そうはいっても、それこそ自分の氏名をファッションブランド名などにして、商標として使われるケースも実際にはあるわけです。中には誰もが知る有名なものもあります。こういった実情があるのに、頑なに商標登録を認めないとすれば、それらのブランドの保護が適切にできなくなってしまいます

 

そこで、今回の法改正によって、この登録要件が緩和されることになった次第です。
すなわち、今後は、商標に含まれる「他人の氏名」に「一定の知名度がある場合」には商標登録を認めない、という運用に変わります。(なお、現在の規定と同様に、その他人の承諾があれば登録は可能です。)

 

逆に言えば、知名度のない「他人の氏名」を含む商標であれば、すんなりと商標登録が認められ得るようになるということです。たとえば、上述のように自分の氏名を商標登録しようと出願した場合、たとえ同姓同名の他人が大勢いたとしても、一定の知名度がある人がいなければ、商標登録が認められ得ることになります。現在では登録条件となっている承諾もいりません。

 

改正後の商標法の規定は、以下のようになります。

 

(商標登録を受けることができない商標)
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

 

八 他人の肖像若しくは他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)又は他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの


※傍線は筆者による

 

今後は、自分の氏名の商標登録がかなりしやすくなると言えるでしょう。
「一定の知名度があるかどうか」をどのように判断するのか等、現時点ではまだよくわからない点もありますが、自分の氏名をブランドとして事業で使っている方々にとっては、歓迎すべき改正となるはずです。

 

ちなみに、「じゃあ、法改正後は、誰でも知名度のない他人の氏名を商標登録し放題になるってこと?」という疑問を抱いた方もおられるかもしれません。この点は、混乱や不具合が生じないように一応はちゃんと考慮されており、上記の規定の後段にある「政令で定める要件」のところで手当てがなされています。(こちらの詳細は、追って『誤解その3「他人の氏名を先に商標登録すれば商売になる」』の記事で言及します。

よって、実際には、知名度のない「他人の氏名」を含む商標であれば、何でもすんなりと商標登録が認められるわけではなく、「政令で定める要件」も満たしていることが前提となります

 

※なお、この「政令で定める要件」は、知名度のある他人からの承諾を得ている場合であってもチェックされます。承諾があっても、「政令で定める要件」をも満たしていることが商標登録が認められる条件となります。よって、知名度のある他人から承諾を得てさえいれば、確実に商標登録が認められるというわけではないという点には、念のため注意が必要です。

 

というわけで、今回の法改正は、「氏名の商標登録がはじめて認められるようになる」といったものではなく、「氏名の商標登録が認められやすくなる」というものですので、まずはこの点を誤解なきようにと思います。

 

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「令和」の文字を含む商標は商標登録できる?

一昨日、今年も「M-1グランプリ」が開催されました。
今回の優勝者は、「令和ロマン」というコンビだったようです。

 

コンビ名に、現元号の「令和」が入っているのは、昭和生まれの筆者からすると、とても新鮮な感じがします。いかにも、「新世代」という印象を受けますね。

 

さて、「令和ロマン」は「令和」と「ロマン」の語を組み合わせたコンビ名と考えられますが、同じように「令和」と何らかの語を組み合わせた商品名・サービス名などの「商標」も、現在では世の中に多く存在していると考えられます

 

このような「元号を含む商標」は、商標登録をすることができるのでしょうか?
今回の記事では、この点について少しお話してみたいと思います。

 

・「元号」の商標登録に関する基本的な考え方

商標法では、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」については、商標登録が認められないとされています(第3条第1項第6号)。

 

そして、特許庁編纂の「商標審査基準」では、これに該当するものの一つとして、以下のように説明がされています。

 

4.元号を表示する商標について
 商標が、元号として認識されるにすぎない場合は、本号に該当すると判断する。
元号として認識されるにすぎない場合の判断にあたっては、例えば、当該元号が会社の創立時期、商品の製造時期、役務の提供の時期を表示するものとして一般的に用いられていることを考慮する。

 

これはつまり、元号そのものについて商標登録をしようとしてもダメよということを意味します。「令和」とか「平成」を商標出願したとしても、基本的に商標登録は認められません。

 

実は、この「商標審査基準」、以前は以下のように書かれていました。

 

4.現元号を表示する商標について
 商標が、現元号として認識される場合(「平成」、「HEISEI」等)は、本号に該当すると判断する。

 

これだけ読むと、わざわざ「現元号」と書かれていることから、「現元号」は該当するけれど、「旧元号」なら該当しないと解釈することもできなくもありません。

 

そのため、元号が「平成」から変わるよという話が出てきた2018年頃に、「じゃあ、新しい元号になったら、「平成」を商標登録できるの?」という疑問が、業界の内外で生じて話題になったわけです。

 

この点、特許庁も気になったのか、2018年6月22日には以下の記事を掲載しています。

www.jpo.go.jp

 

これによれば、「元号元号であるか否かを問わない。)として認識されるにすぎない商標は、・・・商標登録を受けることはできません。」と言っており、「現元号」ではない「元号」であっても、基本的には商標登録はできないことを明確にしています。(※元々、特許庁ではこのような運用がなされていましたが、誤解が生じないようにという配慮からの記事だったのでしょう。)

 

このような経緯を経て、「商標審査基準」も現在の上記内容に変更となった次第です。
ちなみに、実際には「明治」とか「大正」の商標登録も見受けられますが、これらは例外的であると考えるべきでしょう。

 

ちなみに、商標見本とする文字をかなりデザイン化するなどすれば、元号そのものについても商標登録ができる場合もありますが、他者が元号として使用する行為に対して、商標権を行使することは認められません(当たり前ですが・・・)。

 

・「元号を含む商標」の場合は?

上述のように、「元号」そのままの商標の場合、基本的に商標登録は認められません。
では、たとえば「令和〇〇〇」のように、商標の一部に元号を含む場合はどうでしょうか。

 

結論から言うと、「ケースバイケース」となります。
すなわち、「〇〇〇」の部分の文字次第ということになります。

 

より具体的には、この「〇〇〇」の文字部分に識別力が認められるかどうかという話になります。なお、識別力は、指定商品・指定役務(※商標登録をしようとする商品・サービス)との関係で判断されます。

 

たとえば、指定商品を「ケーキ」とする「令和ケーキ」については、「ケーキ」の部分に識別力が認められず、かつ「令和ケーキ」全体としても識別力がないと考えられますので、商標登録は認められないということになります。

 

一方で、たとえば、江崎グリコ株式会社の「令和ポッキー」には、実際に商標登録が認められています(登録6590182号)。「ポッキー」は指定商品「菓子」等との関係で、識別力を発揮できると考えられるからですね。「令和ポッキー」全体としても、識別力があると言えるわけです。

 

つまり、識別力のある語との組み合わせなどであれば、「令和〇〇〇」といった商標を商標登録することは可能ということになります。

 

なお、当然のことながら、「令和〇〇〇」を商標登録したからといって、他者が「令和」を元号として使う行為に対して、商標権を行使することは認められません。

 

・「令和」を含む商標の商標登録の数はどれくらい?

ちなみに、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」で調べたところによれば、2023年12月26日現在、たとえば「令和〇〇〇」のように、「令和」の文字を含む商標(※デザイン化された「令和」も含む)の商標登録は、115件あるようです。

 

多いのか少ないのかよくわかりませんが、これらの大部分が、令和元年(2019年)に出願されており、ここ数年はポツポツといった感じのようですね。

 

「令和」ももう4年以上経っているためか、商標の一部に採用するという流行も一段落しているといったところでしょうか。ちなみに筆者は、いまだに「令和」の読み方のアクセントが、「昭和」と同じなのか、「レイ」の音を強めるのか悩んでいます(笑)。

 

というわけで、今回の記事では、「令和」のような元号や、「令和〇〇〇」のように元号を含む商標が商標登録できるのかという点を、少しお話しました。

 

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「〇〇〇ケーキ」の商標登録を検索して愉しむ

早いもので、次の日曜日はクリスマスイブですね。

 

クリスマスで連想するものは様々ですが、私はやはり「ケーキ」の印象が強いです。
普段、ケーキを食べることはほとんどないのですが、クリスマスの日だけは食べるという感じですね。同じような方も、意外と多いのではないでしょうか。

 

そんなことを考えていて、ふと気になったのが、「どのようなケーキの名称が商標登録されているのだろう?」という点です。

 

というわけで、今回の記事では、商標登録がされているケーキの名称を検索して、具体的にどのようなものがあるのか、実際に少しだけ見ていきたいと思います。

 

なお、「クリスマス」の文字を含む商標の商標登録については、以下の記事で検索しておりますので、よろしければご参照ください。

astermarks.hatenablog.com

 

・「〇〇〇ケーキ」の商標登録の検索方法

それでは、おなじみの「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を利用して、商標登録がされているケーキの名称を早速検索してみましょう。

 

今回はシンプルに、「〇〇〇ケーキ」という表記の商標登録に限定して、調べてみたいと思います。「〇〇〇けーき」や「〇〇〇CAKE」、「〇〇〇ケーキ△△△」等のような名称は、今回の検索結果に含まれません。

 

まずは、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」にアクセスして、「商標検索」のページを開きましょう。

 

そして、一番上の「商標(マーク)」のカラムにある検索項目「商標(検索用)」の「キーワード」の入力フォームに、「?ケーキ」と入力します。

 

入力ができたら、中段の「商品・役務」カラムにある検索項目「類似群コード」の「キーワード」の入力フォームに、「30A01」と入力します。この「30A01」は、商品「ケーキ」が実務上で分類されるグループコード(類似群コード)です。

 

これらの条件の入力により、商品「ケーキ」が含まれる商品分野を指定した、「〇〇〇ケーキ」という表記の商標が、検索対象になります。
※今回の検索方法では、小売役務のみを指定する商標登録が検索結果に含まれている可能性があります。予めご了承ください。

 

入力ができたら、一番下にある「検索」ボタンをクリックしましょう。

 

・商標登録がされている「〇〇〇ケーキ」の一例

さて、「検索」ボタンをクリックすると、該当する商標の検索結果一覧が表示されます。

 

263件がヒット!
(2023年12月22日現在)

 

今回はあくまで、「〇〇〇ケーキ」という表記の商標登録だけを検索していますので、まぁ数としてはこれくらいのものでしょう。なお、これらのうち18件が、まだ商標登録はされておらず、現在、特許庁の審査中または審査待ちの状態となっています。

 

それでは、これらの検索結果一覧をざっと眺めて、私が個人的に気になった&気に入ったケーキの名称を、少しだけご紹介してみたいと思います。

 

・「よくばりサンタのストロベリーケーキ」(登録5060194号)
・「寄木細工ケーキ」(登録5192636号)
・「おえかきパンケーキ」(登録5475665号)
・「しっとり潤うシフォンケーキ」(登録5590599号)
・「チーズ好きのためのチーズケーキ」(登録5601557号)
・「ふらの雪どけチーズケーキ」(登録5767260号)
・「ジュエリーケーキ」(登録5791882号)
・「美人ケーキ」(登録5815846号)
・「桜苺サンドケーキ」(登録5940863号)
・「こぶたのケーキ」(登録6001081号)
・「酔っ払いケーキ」(登録6049647号)
・「金のチーズケーキ」(登録6049843号)
・「森のチーズケーキ」(登録6080923号)
・「魔法のシフォンケーキ」(登録6115549号)
・「奇跡のパンケーキ」(登録6194575号)
・「童顔のケーキ」(登録6323571号)
・「おきてやぶりのチーズケーキ」(登録6428826号)
・「女神のビューティーケーキ」(登録6434115号)
・「プリンづくしのプリンケーキ」(登録6514938号)
・「はにわチーズケーキ」(登録6563855号)
・「炎のショコラケーキ」(登録6653695号)
・「王様のシフォンケーキ」(登録6697186号)

 

う~~~~ん。

 

お腹が空いてきました(笑)

 

そして、私が好きだからという理由で、チーズケーキとシフォンケーキのピックアップが多めになりました(笑)。

 

こうして見ると、商標登録に向いているユニークなケーキの名称が多いですね。
よくばりサンタのストロベリーケーキ」は、まさにクリスマスシーズンのための商品なのでしょう。というか、よくばるのはサンタさんの方なのですね(笑)。それから、「美人ケーキ」や「童顔のケーキ」などが、いったいどのようなケーキなのか気になります。

 

・ケーキ屋さんや販売会社は商標権侵害に要注意!

さて、商標登録の検索結果一覧を眺めていると、ケーキの名称にも流行のようなものがあることが感じられます。たとえば、「〇〇の△△ケーキ」という構成の名称は、かなり多く見受けられます。

 

ケーキ屋さんや販売会社などの事業者からすると、この点には要注意と言えるでしょう。「〇〇の△△ケーキ」という名称を付けてケーキを販売していたら、すでに他者が同じ名称を商標登録しており、うっかり商標権を侵害してしまっていた、となっては大変です。

 

特に、ケーキに「付けたくなるような名称」は、すでに多くが商標登録されている印象があります。思い付いた名称を安易に大々的に使い始めないよう、注意が必要でしょう。

 

やはり、新しいケーキの名称として採用する前には、弁理士などの専門家に商標調査(使用可能性調査)を依頼して、他者の商標登録との関係で問題がないことを確認しておくことが大切です。

 

なお、筆者の事務所ウェブサイトに、「ケーキ屋さん・スイーツ店・パティスリーの商標登録」のコンテンツもありますので、もしよろしければご参照ください。

 

というわけで、今回の記事では、「〇〇〇ケーキ」の商標登録を検索して、具体的にどのようなものがあるのか、少しだけ見てみました。

 

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