商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

【商標登録】「花火」の区分と指定商品記載の話

夏と風物詩いえば、「花火」ですね。
今年は、数年ぶりに花火大会が開催されたところも多かったようです。

 

さて、「花火」に関する商品やサービスというものも、当然あります。
ということは、これらを指定して、関連する商標の商標登録もできるということです。

 

しかし、商品としての「花火」が、どの区分に分類されるのかや、指定商品としてどのように記載すれば良いのか、ぱっと説明できる人は少ないのではないかと思います。

 

おそらく、普段から商標登録の仕事をしている弁理士であっても、即答できる人はほとんどいないと思います。まぁ、「花火」に関する商標についての相談や依頼がくることなんてレアでしょうから、ある意味で当然だと思います。

 

私自身も、商標弁理士を15年以上やっていますが、これまでに「花火」に使用される商標に関する仕事をした記憶はありません。なので、正直に言うと、今回、急に思い立って調べて初めて知ったという感じです(苦笑)。

 

で、せっかく調べたので、どこかに情報として残しておこうかと。
というわけで、今回は、そんな「花火」に関する商品分類や、指定商品の記載等について、一緒に見てみましょう。

 

・「花火」が分類される区分は?

まず、「花火」の商品が分類される区分について調べてみると、「類似商品・役務審査基準」には、以下の商品の掲載がありました。
※カッコ内は類似群コード。

 

・第13類「花火玉」(08B01)
・第13類「花火(「おもちゃ」に属するものを除く。)」(08B01)
・第13類「ベンガル花火」(08B01)

 

・第28類「おもちゃ花火」(24A01)

 

なるほど、まず、「花火」といっても、「おもちゃではない花火」と「おもちゃの花火」とで、別の区分に分類されるということらしいです。

 

というか、「おもちゃの花火」とは、いったいどんな商品なのでしょうか?

 

この点、私は最初想像できなかったのですが、インターネットで調べてみると、どうやら私たち一般人がお店で買って来て公園で遊ぶような花火は、「玩具花火」とか「おもちゃ花火」と言われているそうなのです。

 

線香花火やねずみ花火ならイメージ的にまだわかりますが、ロケット花火とかパラシュート花火でも、「玩具花火」になるようです。実際には、火薬の量や規格によって、「玩具花火」かどうかが決まるそうです。

 

火を使ったり、結構な高いところに打ち上げたりする点などから、私には、そもそも花火については「玩具(おもちゃ)」だという認識がこれまでなかったのですが、皆様はいかがでしょうか。

 

一方、「おもちゃではない花火」というのは、花火大会で使われるような、花火職人が作ったガチなやつを言うようです。

 

以上を踏まえて「類似商品・役務審査基準」に掲載の上記商品を見ると、

 

・花火大会で使うようなガチの「花火」 → 第13類(08B01)
・私たち一般人が公園で遊ぶような「花火」 → 第28類(24A01)

 

といった感じになるのでしょうか?
「花火」の種類によっては、どちらに含まれるのか判断が難しいものもある気がしますし、個人的には、なんとなくモヤモヤします(苦笑)。

 

ちなみに、これらの「花火」は類似群が異なっているので、基本的には互いに「非類似」の商品として扱われるということになりそうです。

 

「24A01」の類似群には「トイフィギュア」のような商品も含まれるところ、私たちが公園で遊ぶような「花火」が「トイフィギュア」には類似すると推定されるのに、これが花火大会で使われるような「花火」とは非類似と扱われるというのも、なんだか変な気がするのは私だけでしょうか。

 

・「第13類」に分類されている商品

ところで、普段から商標実務に携わっていても、1、2位を争うくらい関わることが少ない区分というのが、この「第13類」ではないかと思います。

 

類似商品・役務審査基準」を見てみるとわかりますが、第13類には「鉄砲」とか「戦車」など、なにやら物騒な商品が多く分類されている印象です。

 

「花火玉」は、「火工品及びその補助器具」の「火工品」のグループに含まれていますね。

 

我が国も国際分類を採用しているので、このような区分が存在してはいるものの、実際に第13類に含まれる商品を眼目として商標登録をするケースというのは、かなり少ないと思われます。

 

ちなみに、第13類にはちゃっかり「スターターピストル」が含まれていますが、これは元々は玩具などの商品が分類されている第28類に含まれていました。それが、2022年から第13類に変更となっています。個人的には、違和感があります(苦笑)。

 

また、「水中銃(運動用具)」も含まれていますが、これも元々は「水中銃」として第28類に含まれていました。それが、今年2023年から第13類に変更となっています。

 

・「花火」の文字が含まれる商標の商標登録状況

ところで、「花火」の文字が含まれる商標は、どれくらいの数が商標登録されているのでしょうか。

 

例によって「J-PlatPat」で、検索項目「商標(検索用)」のキーワードを「?花火?」として検索すると、172件がヒットしました。(※2023年8月23日現在
かなり少ない印象ですね。

 

ちなみに、これを「花火玉」や「花火(「おもちゃ」に属するものを除く。)」が含まれる類似群(08B01)の商品を指定しているものに限定すると、わずか12件しかありません。

 

一方、「おもちゃ花火」が含まれる類似群(24A01)に限定した場合は、35件がヒットしますが、その多くはゲームやパチスロに関連する商標と見受けられます。

 

やはり、「花火」に関する商標登録というのは、かなりレアだと言えそうです。

 

というわけで、今回は、「花火」の商品分類や、指定商品の記載等について、簡単に見てみました。皆様の何らかの気付きとなれば幸いです。

 

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