商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

サービス業で使う商標も商標登録の対象になる

「商標」というと、「商品」について使うものというイメージを持っている一般の方は少なくないように思います。そのような方は、商標登録の対象となるのも、商品に使われる商標だけだという理解をしているかもしれません。

 

しかし、それは誤解です。
しかも、意外と「あるある」な誤解と言えるかもしれません。
特に、商標制度や商標登録に馴染みのない事業者の方の中には、このような誤解をしている方が実は少なくないのではないかと予想されます。

 

商品だけでなく、「サービス」に使うネーミングやマークも商標です。
そして、このようにサービスに使われる商標も、商標登録の対象となります。

 

実は、今から30年ちょっと前までは、サービスについて使う商標、すなわち「サービスマーク」は商標登録の対象ではありませんでした。ですが、現在では、法改正・制度改正を経て、当たり前のように商標登録の対象となっています。そして、毎年多くの「サービスについて使われる商標」が、実際に商標登録されています。

 

類似商品・役務審査基準」という、特許庁が作成している商品・サービスのリストのようなものが、実務では使われています。これは、ニース国際分類という国際的な分類に基づいて作られており、全部で45のクラスがあります。

 

そして、このうち、商品は第1類~第34類サービスは第35類~第45類に分類されています。サービスの分類についてざっくり例を挙げると、以下のような感じです。

 

※類似商品・役務審査基準「各類に属する商品・役務の概要」より

 

各区分に分類されているサービスの詳細を知りたい場合は、直接、「類似商品・役務審査基準」の中身を確認してみてください。

 

サービスについて使う商標の商標登録をしたい場合は、これらの区分と具体的なサービスを願書に記載して、出願をするわけですね。

 

たしかに、商品とは違って「サービス」には形がないため、「サービスについて使う商標」といっても、どのようなものかをイメージしにくい一面はあるでしょう。形のないサービスそのものについては、ネーミングやマークを付けることはできないからです。

 

この点、簡単に言えば、商標法的には、サービスの提供において使う物や、お客さんが利用する物、広告物などに表示するネーミングやマークが、「サービスについて使う商標」であり、このような商標が商標登録の対象となります。

 

ですから、塾や各種習い事の教室(英会話教室音楽教室など)の名称、レストランの名称、クリニックの名称、弁護士や税理士の事務所などの各種士業事務所の名称、それらのマークやサービス名なども、商標登録の対象となり得るわけです。もちろん、ここに挙げたのはごく一部の例であり、金融業、建設業、コンサルティング業、美容業、広告業・・・など、多くのサービス業において使われる商標が対象となり得ます。

 

結局のところ、現在においては、ビジネスを行なっている事業者であれば、どのような業種であっても、商標や商標登録には関わりがあるということです。

 

サービス業でも、商標登録は重要となります。
けっして、「うちはサービス業だから、商標登録は関係ないし、必要ないよ」という話にはなりませんので、くれぐれも誤解のないようご注意いただきたいところです。

 

そして、もう一つ。
商標登録を、ドメイン登録と同じようなものと簡単に考えている方をたまに見かけます。インターネット上で、ドメイン登録サービスと同じような体で商標登録サービスを提供している特許事務所などが見受けられるのが一因かもしれません。

 

しかし、これらはまったく別物であり、登録の性質も異なります。
事業者の方々には、くれぐれも、商標登録を簡単なものと考えたり、甘く見ないようにしていただきたいと強く思う次第です。当事務所ウェブサイトの過去のコラムに、「商標登録とドメイン登録のちがい」がありますので、よろしければご参考にしてください。

 

なお、当事務所ウェブサイトの「商標登録とは?」のページの文末に、業界別の商標登録に関するコンテンツへのリンクを掲載しておりますので、こちらもよろしければご参照くださいませ。

 

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