商標を愉しむ 或る弁理士の銘肌鏤骨ブログ

商標ブログ、こっそり始めました。商標弁理士の永露祥生によるブログです。

【商標登録】商標権の更新は区分の数を減らしてすることもできる

前回の記事では、商標登録(商標権)の「更新」について、更新期限が近付いても特許庁から案内のハガキや通知は来ないので要注意!というお話をしました。

astermarks.hatenablog.com

 

ところで、更新時期のことをきちんと覚えていても、実際に「更新手続をするかどうか」はとても迷うという事業者の方は、少なくないのではないかと思います。

 

というのも、更新をするには、それなりの費用がかかるからです。
今回は、この点に関連して、商標権の更新について少しお話してみたいと思います。

 

・意外と費用がかかる「商標権の更新」

商標権の更新は、無料でできるわけではありません。

 

商標登録をした際に「商標登録料」を支払ったように、更新手続の際にも同様に登録料(10年分一括または2回に分割)を支払う必要があります

 

昨年2022年、料金の改定(※値上げ)が行われました。
現在の更新登録料の金額は、

 

区分数×43,600円
※10年分一括納付の場合

 

となっています。

 

「意外と高い!」という印象を持たれた方もおられるかもしれません。
特に、今の世の中は、コロナ禍による事業者へのダメージも依然として残っており、お世辞にも景気が良いとは言えない状況です。「10年前ほど資金に余裕はない」という事業者は、決して少なくないと推測されます。

 

・区分の数が多いとさらにキツイ!

「10年前はわりと予算に余裕があったから、複数の区分で広めに商標登録をした」という事業者も、少なくないのではないでしょうか。

 

上記のとおり、更新時には「区分数×43,600円」がかかりますので、区分の数が増えれば増えるほど、倍々の費用が必要になります。実際、3区分では130,800円、5区分では218,000円と、なかなかの金額になります。

 

同時期に複数の商標を商標登録した場合は、更新時期も重なりますから、さらに「×商標数」の費用がかかることになります。

 

「10年分」の料金だと冷静に考えれば、決して高くはない(1年換算すれば「区分数×4,360円」)はずなのですが、やはり同時期にまとめて支払うとなるとキツイというのも、よくわかります。

 

・区分の数を減らして更新することもできる!

こういった費用面の問題から、「更新手続をするかどうか」を悩む事業者も少なくないことでしょう。

 

もちろん、その更新時期において、すでに一切使用しておらず、今後も使用する予定がない商標であれば、更新はしないとするのも全然アリです。

 

一方で、その商標が現在も使用を継続しているものなら、さすがに「商標登録(商標権)を維持しない」という選択肢はあり得ないでしょう。とはいえ、現実的な問題として、「区分数が多いから困った」、「今、そこまで費用をかけられないよ」と、途方に暮れることがあるかもしれません。

 

そこで知っておいてほしいのが、「商標権の更新は、区分を減らしてすることもできる」という点です。

 

すなわち、現在は3つの区分で商標登録をしているけれど、そのうち1つの区分だけを更新するということも可能です。たとえば、第3類、第5類、第10類で登録していて、更新は第5類だけ行なうということができるのです。

 

こうすることで、費用も1区分の金額に抑えることができます。

 

もちろん、更新をしなかった区分については、商標権は消滅し、今後は商標登録による保護を受けられないことになりますが、「現在はもう不要」とか、「結局、必要なかった」となっていることも、実際は少なくないと思います。今後も保護が必要な区分に厳選して更新をすることで、逆に商標権の内容を整理できるというメリットもあると言えるかもしれません。

 

具体的な書類作成の方法などはここには書きませんが、弁理士に依頼する場合は、区分を減らして更新したい旨を伝えれば、対応してくれるはずです。なお、区分を減らしての更新を弁理士に依頼する場合、委任状が必要になります。
弁理士に商標権の更新を依頼する場合は、別途手数料がかかります。

 

このような更新の方法を知っていれば、「本当は商標の保護を続けたい商品やサービスがあったのだけれど、区分数が多くて費用面で厳しいので更新自体を断念した」といった、残念なことにならずに済むはずです。

 

商標権の更新は、「ALL or NOTHING」というわけではない点を、ぜひ覚えておいてください!

 

なお、筆者の事務所でも「商標権の更新」を承っております。
ご依頼・ご相談をご希望の場合は、「商標権の更新サービス」のページにあるメールフォームよりご連絡ください。筆者が、直接対応させていただきます。

 

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